エンジェルセット

ayu

2009年03月12日 18:27



観てきました。

おくりびと

凱旋上映されていましたので
遅ればせながら映画館で観る事ができました。

死は特別なことではなく
誰にでも訪れるものであること。
死を見つめることで生の尊さを感じ直す。

主演の本木さんの言葉です。
その映画にはその言葉の魂が溢れていました。

納棺士という仕事があることを知らなかった。

病院勤務時代
患者様の死に立ち会うことは少なくなかった。

遺族の方へご遺体を引き取って頂くまで
私達看護師は納棺士と同じようなことをしていた。

ご遺体を消毒液を薄めた水で清め
綿を詰め
着物を着替え死化粧を施す。

それは看護師の行う「死後の処置」です。
患者様の死をステルベン(ドイツ語だったかしら)といい
そこからステルベン処置とも言われていました。

その処置セットは私達病棟内では
「エンジェルセット」と呼ばれていました。

無言の中で行われるその流れは
厳粛でありましたが

入院期間の長かった患者様ですと
生前の思い出が呼び起こされ
複雑な心境にもなったものです。

看護師になり立ての私は
先輩看護師より

「早く慣れなさい。」と言われていました。

死に慣れろと?

当時はどういうことなのかわかりませんでした。

今思えば

死が特別なことではなく
誰にでも訪れるものであること。
死は終わりではなく
「門」であり旅立ちであること。
それを解ってこそ
生の重みや尊さを感じ
死に向き合った時
看護師はどう在るべきで
何を今しなければいけないかが見えてくる。
それが私達の仕事であると。

そこに早く気付いて・・・と
先輩は言っていたのだと。

あの頃の
経験は今の私の原点でもある。

あのひとつの箱に書かれていた

「エンジェルセット」 の手書きの文字は

患者様を旅立ちへと送り出す

私達看護師の想いがにじんでいました。

おくりびと

この映画を観ることで

私の原点を思い出すことが出来ました。













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